Sakata Architects Office
こんにちは。
家を設計している
坂田です。
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家づくりを思い立ったとき、いろんな雑誌を見たり、展示場にいったり、そして建築家やハウスメーカーのホームページを見たりしますよね。
そこで得た知識の中で最良の建築家や工務店などを選択していくと思いますが、建物の構造って木造以外に考えたことありますか?

建物構造のひとつの選択肢として当事務所の超お奨めなのが、外断熱+床暖房+木製3重窓の補強コンクリートブロック造です。
え〜ブロックぅ?あの塀に積んである?・・・と思っていらっしゃる方
ちょっと長い説明になりますが、見方が変わるかもしれませんよ。

■補強コンクリートブロック造って

ブロック自体はご存じかと思いますが、同じブロックにも強さがあるのをご存じですか?
ブロックの厚さは10cm、12cm、15cm、19cmとあり、強度は弱い順にA種、B種、C種と分かれています。住宅の規模に応じてブロックの厚さや強さを使い分けますが、私が使用するブロックは19cm厚のC種です。ちなみに塀などに使うブロックはA種という強度が弱いブロックが多いですが塀としてはこれで充分なんですね。
補強ブロックコンクリート造は写真で見るとこんな感じで・・・



ブロックをモルタルで積み重ねて、ブロックの空洞を利用して鉄筋を入れてモルタルやコンクリートで補強し、ブロックの壁の上下をコンクリートでがっちり補強した構造です。

■ブロック住宅は湿気る?

この誤解を解くためにはちょっとブロック住宅の歴史をお話しなければなりません。
北海道のブロック住宅といいますと、昭和30〜40年代に建設されたブロック造の公営住宅、いわゆる「三角屋根のブロック住宅」を思い起こされる方が多いと思います。
当時は断熱材もなく、換気を怠ると結露にも悩まされました。
「ブロック住宅は湿気る」と敬遠されるようになったのも、この頃の住宅の状況があり、今もそれらの住宅が残っているからでしょうね。
その後、断熱性能が向上し、FP板(スタイロフォーム)や発泡ウレタンを壁の内側に20〜30mm断熱をすることによって、表面結露の防止の解消は可能になりました。
しかし、より快適で省エネルギーを目指すにはさらに厚い断熱材が必要でした。
ところが室内側に厚い断熱材をすると部屋が狭くなります。
また冬は外側のブロックが冷えるため断熱上、不利な点がたくさんありました。
そこで先人たちが考えたのがブロックの外側に断熱する事(外断熱)でした。

■外断熱補強ブロック造のメリット

1.耐久性
家は大きな財産のひとつですね。長く住めることを念頭に考えると、構造や工法、材料も劣化しづらいもので建てられなければなりません。ブロックは材料の乾燥収縮がすでに終わっている工業製品ですからひび割れの心配もありません。
10mm程度のブロックの目地もひび割れによる劣化も小さいといわれてます。
また外断熱工法によって、過酷な気象条件からブロック等の構造体を保護していますので、更に耐久性が増しています。
あと、ブロック自体が腐ったり、シロアリの襲われたりっていう心配もないですしね。
自治体の固定資産評価の建物耐用年数を比べてみると、木造の23年に対して補強ブロックコンクリート造は40年ぐらい(資産評価によります)あることからみると、公的にも認められている耐久性といえますね。

2.耐震性
積み木のように積み上げたブロックは地震で崩れない?という疑問をお持ちの方、お任せ下さい。
よくテレビで見るレンガや石造りの建物が地震で崩れている映像が映りますが、あれは地震のない国の鉄筋などで補強をしてない建物のお話です。
ブロックを鉄筋で補強した補強コンクリートブロック造は、1952年の十勝沖地震や、最近でいえば1993年北海道南西沖地震、1995年の阪神淡路大震災など、過去に大きな地震がたくさんありましたが、いづれも住宅ではきわめて軽微な被害しか報告されていません。(関東大震災以降の補強組積造震災報告書の検証から)
地震国日本を考えると、適した構造のひとつといえますね。

3.耐火性、耐風性
ブロックやコンクリートは建築基準法では不燃材料と定められています。
不燃材料とは火災によって20分間は燃焼せず、防火上有害な変形、融解、亀裂などが生じない、尚かつ避難上有害な煙又はガスが発生しないと規定されています。
このような不燃材料で構成された補強コンクリートブロック造は、火災で焼け落ちたり、延焼の恐れもないことから都市部の建て込んだ場所でも最適な構造ともいえます。
また建物重量がある為、風による倒壊というのもありません。
沖縄県ではブロック住宅が普及している地域ですが、台風などで傾いたり倒壊したりという被害が生じていないのは、風に対する強さを証明してますね。(あ〜沖縄で仕事がしたいなぁ)

4.快適な室内環境
ブロックという素材は高い蓄熱性を持っています。
これは、暖まると冷めにくく、冷めると暖まりにくいという特性で、たとえば河原のたき火。たき火を消しても石はいつまで経っても熱いままですよね。
あれは石も蓄熱性が高い為、たき火を消しても石の中に蓄えられた熱が逆に放出されるためなんですね。
ブロックも石と同じ様な高い蓄熱性を持っています。
この性能を利用してさらに外断熱をし、断熱性能がいい窓を取付け、全室床暖房を施すとブロックの温度も室内温度に近づきますので、冬に暖房を切ってもすぐに冷えることはありません。ボイラー運転も数時間の間欠運転することで経済的で、24時間快適でどこに行っても暖かく身体にやさしい室内環境になります。
同じく夏は日射を入れない工夫(カーテン・日除け)や室内の温度上昇前に短時間エアコンを運転するだけで、涼しい室内環境が得られますから、夏が厳しい地域でも適した優れた性能を持った構造体といえますね。

5.その他
ブロックは腐れや色あせなどの変質もなく、そのまま表しの仕上げにすればメンテナンスの費用も掛かりません。
さらに無機質なブロック素地の壁は生活の背景として人の服の色や家具、飾りをグッと引き立ててくれます。
また、ブロックそのものはセメントや砂、砂利などで出来ていますので森林保護など環境に優しい材料ともいえますね。

■それじゃ、デメリットって何?

 メリットがあればやっぱりデメリットもあります。

1. 建築費が木造に比べて割高になります。
どれぐらい高くなるのかは仕上げや設備器機のランクによって違いますが、私が手掛けたブロック住宅の坪単価が65万前後くらいですから、比較をしてみて下さい。(坪単価の詳しい内容については お問い合わせ下さい)

2. コンクリートや目地のモルタル、工事中にブロックに含まれた水分等で結露は最初の1〜2年は起こりやすいので、十分換気の注意が必要です。
その後は乾燥しますので、結露はほとんど起きません。

 どの建物でもそうですが、十分な換気は必要になってきます。

3. 木造のように簡単に増改築が出来ません。むやみに壁を壊すことが出来ませんのでライフサイクルを考えた計画が必要となってきます。
しかし計画段階で充分話し合うことによって解消できる問題ですね。

4. 固定資産税が木造に比べて少し高いく、資産評価額が緩やかに減少していく。
これは自治体の査定金額がやはり木造と比べて高くなるためでです。
資産評価額は最終的に20%を限度として固定資産税が減少していくのですが
木造は23年に対し、補強ブロックコンクリート造は40年ぐらい掛かります。
裏を返せば、耐久性があるという証明でもあります。
ちなみに火災保険料は補強コンクリート造の方が少し安いですね。

■外断熱補強ブロック住宅のススメ

家は生活の基盤です。
それは何十年経っても、変わらない愛着が持てる家が理想ですね。
目先にとらわれた最先端の材料はいずれ最後端となり、時代遅れの建物として評価されがちです。
厳しい自然や豊かな大地に根ざすような、その重量感あるブロックという素材は、時代に左右される事なく、そこに秘められている性能で何年経ってもその良さは変わらず、快適で深い満足感を与えてくれる住宅であると思っています。
これから住宅建設を計画されていましたら、一度ブロックでつくる住宅を検討材料のひとつとして加えることをぜひお薦めいたします。